「正字正かな」の「正」とは

正字正かな、正字正かなつて言ふけれども、何が如何「正」なんだ!?と云ふ方向け。


「正しい」と云ふ事

何故、「正字正かな」と云ふか。其れは、「正しい」からであるに過ぎません。併し、「正しい」と云ふと、"絶對的に「正しい」事なんてものは、存在しない"等と言ふ人が居ますが、「正字正かな」の「正」は、「絶對的な正しさ」を表す「正」ではありません。「正しい」は、辭書で以下の樣に定義されてゐます。

正しい〔形〕
⇒ただし

正し〔形シク〕
  1. まがっていない。よこしまでない。
  2. まちがっていない。道理にかなっている。
  3. 整っている。乱れていない。

「正字正かな」の「正」は、3番の整っている。乱れていない。や、2番の道理にかなっている。等です。決して、間違ひが全く無い、絶對的な正しさを表すものでは無いのです。

何が「正しい」のか

何が、整つてゐるか、何が、道理に適つてゐるか。


具體例を擧げて説明します。「仏・払・広・拡」の4文字を想定します。何れも、新字です。そして、字の中に「ム」が共通として存在します。一見すると、同じ體系の文字の樣な氣がするでせう。併し、此れ等の文字は、正字では「佛・拂・廣・擴」です。4つの文字は體系的に違ふ文字であると云ふ事が分かるでせう。此れが、體系的に整つてゐると云ふ事であり、新字は亂れてゐるものであると云ふ事です。

更に、「佛・拂・沸」の3文字を想定した場合、現代では「仏・払・沸」と書きます。「沸」だけが可笑しいですね。此れも、新字が亂れてゐると言へる根據です。他にも、「專・轉・傳・團」→「専・転・伝・団」等、見ただけで可笑しいと分かる組み合はせが有ります。


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